DMPS 治療プロトコル(経口投与)
経口 DPMS
経口用DMPSの入手あるいは使用が可能であることを知らない医師が少なくありません。 DMPSの静脈投与は、実は、急性金属中毒によって金属の血中循環濃度が高い場合の治療法です。慢性金属中毒は急性はと異なり、ほとんどの場合、有害金属が循環しているのではなく、細胞の中で厳重に隔離されている状態です。 Dimaval(Heyltex 社製品)の薬物動態学研究では、ヒト被験者の場合経口投与された DMPSの45~60%は吸収されることが示唆されています。 DMPSの約半分は吸収されないので、吸収されないDMPSは消化管内で金属をキレート化し、また胆汁内に排出された金属の再取り込みを阻害します。
経口 DMPS による慢性金属中毒の治療
現在、経口DMPSによる治療用のプロトコルで、充分に確立した文献はありませんが、毎日または周期的な使用法についての記述はあります。通常使われる周期的使用法としてのプロトコルでは、経口 DMPS を2~5日間使用し、11日間休むものです。投与量は100~200mg (成人)を1日3回投与にするか、または体重1kg当たり10mgを1日3回等分に投与します。治療回数と投与量は各患者の重症度、耐性、生活スタイルを考慮し決定する必要があります。また治療中の患者には水分を多量に取らせてください。他のキレート剤の使用時と同様、治療の開始前にクレアチニン・クリアランス、薬物への感受性、必須元素の状態(RBC)などを評価しておく必要があります。 DMPSの禁忌と潜在的な副作用の詳細については調剤を行う薬局にお聞きください。
要旨
1.静脈投与あるいは経口によるDMPS投与で行う初回尿負荷検査。
2.薬物への感受性、クレアチニン・クリアランス、必須元素の状態(RBC)、アミノ酸状態の評価(24時間尿)。
3.安全で効率の良い解毒治療を遂行する前に栄養上不適切な面を正してください。
4.DMPS を100~200mg1日3回、2~5日間連続で経口投与してから11日休みます(2週間サイクル)。初め低用量で耐性が出来たら投与量を増やします。
5.治療を5サイクル終了する毎にDMPS負荷検査を行って解毒の進展を観察します(負荷検査プロトコルを遵守すること)。
6. 約5サイクル終了した後にRBC必須元素(亜鉛、銅、モリブデン、マグネシウムなど)を検査すること。