DMSA 治療のプロトコル
DMSA(メソ-2,3-ジメルカプトコハク酸) は、FDAが認可している鉛解毒剤、Chemetに含まれる有効化合物です。 DMSAは純粋な形で入手可能であり、水銀、アンチモニー、ヒ素など金属の解毒剤として広く使われてきました。 PDRに記載されているように、副作用の可能性としては、発疹、悪心、軟便、 膨満,倦怠感、肝臓酵素の増加、白血球減少、好中球減少、粘膜性皮疹、血小板減少が上げられます。胃腸関係の副作用が最も一般的であり、通常症状は軽く、一時的です。治療以前に腸管・消化器系障害を持つ患者では胃腸の副作用が著しく悪化することがあります。そのような兆候がある患者に、DMSAやメルカブト基が多い薬剤を経口投与して金属解毒治療を行う場合、治療前にDDI による便の分析などを行って胃腸を検査しておく方がよいでしょう。腸管・消化器系に悪影響を与える 細菌 酵素は細胞障害性硫化水素とアンモニアをシステインから産生するので、システインと N-ACの使用は特に問題があります。
DMSA 治療プロトコル
広く使われ、効果的で耐容性の良いDMSA治療のプロトコルとしては、以下のような 2週間の循環アプローチがあります。
患者にDMSAを体重1kg当たり10mgを1日3回、3日間服用させ、11日間休薬させ ます。体重に拘らず、1日の投与量は2gを決して超えないこと。少ない投与量から初めて、耐性が増した時点で増量する方法がよいとする医者もいます。治療を5サイクル終了する毎に有毒金属 誘発分析を行って解毒の進展を観察します。初めの金属蓄積濃度にも依りますが解毒には10~15サイクルが必要です。総合的なプロトコルでは、適切な栄養面のサポートを盛り込む必要があります。また金属に対する主要な暴露源を判断し、それを除去する努力を 常 に行うことも大切です。
DMSAを服用している間は、マルチ・ミネラルのサプリメントの摂取は中止した方が良いでしょう。ただし、事例報告によると、マグネシウムは解毒を促進し、副作用を改善することが示唆されます。また発表された研究によると、鉛の解毒の時にα-リポ酸、N-AC、タウリン、メラトニンのような酸化防止剤を一緒に摂取するとDMSAの効果が強まることも指摘されています。
注:万人向けの投与量は存在しません。負荷検査を始める前に100mg未満のDMSAで試すのが賢明でしょう。